人違い

いつも行くスーパーにて。レジの女性がふと僕の顔を見て息を呑み、わわーっと大きく目を見開く。僕もつられてちょっと目を見開きかけたものの、状況が分からずとりあえず相手の出方を見る。次の瞬間、相手はふぅっと息を吐きつつ苦笑いして、
「すみません、知り合いにそっくりだったもので」
僕は軽く笑みを作ることによって、何も言わずに自分が気を悪くしていないことを相手に伝える最小限の表現をする。せっかくなら気の利いた台詞のひとつも言えたらよかったのだけど。僕に似ている別の人は、どこでどんなことをしている人なんだろう。どのくらい似ているんだろう。
普段は気の抜けた感じでレジを打っている店員さんが、今日はすごく本気の顔をしたのでちょっとおかしかった。