「ダンス・ダンス・ダンス」

村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」。上巻が昨日読み終わって今日から下巻を読み始めたところなのだけど、いい小説だと思う。主人公に自分の姿を投影してみてしまう。早くいえば感情移入ができる。これはいい小説の条件のひとつだ。
新しい光が見えない八方ふさがりの状況の主人公の気持ちが今の僕にすごく近い。たとえばこんな描写。

糸は切れたままだったし、新しい糸も出てくる気配はなかった。見当違いな場所で見当違いなことをやっているような気分だった。何をやってもしっくりと体になじまなかった。間違ったものを食べつづけ、間違ったものを買いつづけているような薄暗い気持ちだった。

今がちょうどそんな感じだ。
といっても、周りからは僕が追いつめられているというふうには絶対に見えないだろうし、実際のところ生活状況が追いつめられているというわけでもない。何がこんな気持ちにさせるのか分からないけれど、「見当違いな場所で見当違いなことをやっているような気分」というのがよく当てはまる。
少し前に(といってももう2カ月も前の話だが)、「ここ数ヶ月が勝負になる」人生の転機と書いたけれど、それはまだ続いている。これから乗り越えるべきイベントは、明日の事務手続きと今月中に行われる社長面接。恐らく、大きな失敗もなく無難にこなせるだろう。僕はこういう場では割と強い。でも、この醒めた感情は一体なんだろう。そんなにしれっと通り過ぎようとしていていいんだろうか。ほら、もっとこう、沸き上がる情熱!頑張ってます!やる気あります!乗り越えます!みたいな感じじゃないと。
うまく踊ってきます。