「世界の中心で、愛をさけぶ」(ネタバレあり)

映画を観るときはいつも、僕はできるだけその映画の情報を事前に手に入れないよう注意する。予告編は、映画の一番いいシーンだけを凝縮して収められている。こんなのを見てしまったら、本編を見たときに「ああ予告編で見たとこだ」と思ってなんとなくがっかりする。一番いいシーンは本編までとっておきたいし、映画そのものに集中するためにも、情報はできるだけ仕入れない。事前に手にする情報は、タイトルと出演者、それに映画館と上映時間の情報くらいのものだ。そして、映画を見終わって帰ってきたら、それぞれのシーンを反芻しつつ、公式サイトでゆっくりと予告編やインタビューを見る。これが正しい映画の楽しみ方。

世界の中心で、愛をさけぶ」を観てきた。出演は、大沢たかお柴咲コウ長澤まさみ森山未來山崎努
青春恋愛ものの王道を行くいい映画だった。衝撃的な破壊力はないけれど、奇を衒わずにまっすぐで素直な表現がじんわりとよかった。
ただ、その後の登場人物たちの生活を考えたときに、律子(柴崎コウ)はきついだろうなと思った。死んだ人間を超えることは永遠にできないから。朔太郎(大沢たかお)は律子との結婚後も亜紀(長澤まさみ)を思い続けるだろうし、その思いを抱えたままの朔太郎と暮らし続けるのは辛いだろう。ラストで「後片付け」をしたことで、朔太郎と律子は呪縛から完全に解き放たれたのだろうか。
山崎努が味のある演技。自分が年を重ねたときに、ああいうかっこよさを持った爺さんになりたいと思った。