「スプートニクの恋人」

心地よい文章を読んでいると、その時間が永遠に続くことを期待したくなる。物語がいつまでも続いてほしいと願う。数ページ読んだだけですっかり引き込まれてしまった僕は、開いた文庫本の右手にかかる厚みが左手のそれより増してきたところで、もう寂しい気持ちに傾いてしまう。ああもうすぐ終わってしまう、と。本を読むときいつも思うのだけど、前半より後半の方が読むスピードが格段に上がる。ゆっくり読もうと心に決めていたのに、もう読み終わってしまった。
スプートニクの恋人」。すべてが寂しさの中で終わってしまったかと思われたが、最後の数ページの描写で涙が出そうになった。そのとき僕は電車の中にいたので、そんなわけにはいかなかったけれど。
ゆっくりと味わいながら、もう一度読み返すことにしよう。