札幌最終日

12/18(土)は1日時間がある。サッポロファクトリーに行くこと以外は何も決めていなかった。ホテルをチェックアウトしてまず札幌駅へ。大きな荷物をコインロッカーに預けて行動しよう。コインを4枚入れてキーを回す。
サッポロファクトリーに着いたのは10時ちょうど。クリスマスカードコレクションを見て、会社へのおみやげを購入すると11時過ぎ。もうすることがなくなった。帰りの便が飛び立つのは夜。せっかく北海道に来たのだから、小樽に行くとかすればよいのだけれど、今回は主目的が仕事という気持ちがあるので、いまひとつ観光気分になりきれない。ベンチに座って本を読む。今回の携行本は、乙一の「暗いところで待ち合わせ」。
12時半すぎ、そろそろ何か食べようという気になる。札幌駅前のビル内に、ラーメン共和国というのがあるのを知る。札幌といえばラーメン。今回はまだ食べてないので行ってみると、どの店もすごい行列。行列嫌いなので即断念。ここでも「別に観光じゃないし」という気分が先に立つ。大丸のレストラン階で「カレー研究所」に入る。札幌はカレーも有名だよね。注文したのはインドネシア風ビーフカレー。食べ始めてから気付いた。札幌で有名なのはスープカレーだった。僕が注文したのは、見た目最もオーソドックスなカレー。でもちゃんとおいしかったので満足。
 
間抜けなことに、僕は帰りの便の時間をメモしていなかった。チケットはネットで予約したチケットレスサービスなので、何時発の便なのか手元で確認できない。詳細が書いてある確認メールは自宅パソコンに保存されており、旅先で確認する術がない。行きの時間ばかり気にしていて、帰りの時間をメモしていなかった。漠然と夜7時頃札幌を出ればいいかなーということだけが頭にあった。そのせいで、この日仕事終わりに駆けつけてくれた友人とは30分弱しか一緒にいられなかった。空港に着いて搭乗手続きをしてみて初めて、実はまだあと1時間も余裕があったことを知る。慌ただしく過ごさせてしまって心底申し訳ない気持ちになる。
空港に早く着きすぎたので、空腹でもないのにお店に入ってウニの小丼を食す。今回の北海道最後の食事。またね北海道。
 
空港というのは異質な空間だ。羽田空港は東京にあるけれど、そこを行き交うのは日常的な街に存在する人々ではない。違う世界へ旅立つ人々、あるいは別の世界から帰ってきた人たちが少し緊張した面持ちで歩いている。空港から品川に向かう京急線に乗っている間は、僕以外の乗客もまだ異質の街の空気をまとっているが、品川で完全に東京の空気に取り込まれて同化する。東京の外気に触れた瞬間、僕の身体はようやく東京に戻ってきたことを理解する。ぴんと張りつめた札幌の冷気とは全く異なる、12月とはとても思えない緩んだ空気が広がり、東京の日常に存在する人々が行き交う。コートの前を開け、汗ばんでくる身体に少しでも新鮮な空気を取り入れる。ダウンジャケットを着ている人を見るだけで暑苦しい感じがしてくる。
でも、地元の駅に着いてしばらく歩いていると、なんだか寒くなってきてマフラーを首に巻くことになる。身体の順応は早い。僕はもう東京の人間に戻ってしまった。ただいま東京。