「天使の卵」「天使の梯子」「ヘヴンリー・ブルー」

この2日で3冊の本を読む。
村山由佳天使の卵」「天使の梯子」「ヘヴンリー・ブルー」。同じ世界で繋がっている3冊。
いずれも前に読んでいるけれど、よい小説は何度読んでもいいし何度でも泣ける。悲しみと痛みを抱え、罪と罰の前で赦されることを願いながら現実を生きる登場人物たちの姿は、本当に切ない。
そして、本当に切ない小説は決して電車の中で読んではならない。家の中で、ひとりきりで存分に孤独と切なさを味わいながら読むのが正しい。人目をはばからず自分の感情を解放する時間。
特に印象的なのは、「天使の梯子」の中で、宮沢賢治の「告別」を口ずさむシーン。慎一が「ごめん。ばあちゃん、ごめんな」と心の中で繰り返す。前に読んだときも、その前に読んだときも、どうしようもなくここで涙があふれた。
投げつけてしまった言葉も、ひとつきりの誤った態度も、現実に起きたすべての出来事は取り返しがつかない。僕は、あるいは僕らは、大切な人に対してどれほど本当に大切に接することができているだろうか。赦されることのない痛みを改めて深く心に刻み直す。そうしてできた傷跡が癒えるのに、さらにどれだけの時間と経験が必要になるだろう。そんなことを改めて思いながら、僕はこの5連休を過ごします。5月1日は大きく変わる日。あとの4日は静かに自分と向き合います。
この3冊は本当によい小説なのでぜひ読むとよいです。あまりに大切な3冊なので、人にはお貸しできないのですが。