眠りから覚めたトランペット

最高気温5℃、曇天、北風吹きすさぶ真冬の寒さの中、何年もの間眠り続けてきた僕のトランペットは、か細い声を上げてようやく目を覚ました。
昨日観たライブに触発されて、近所の原っぱでトランペットの練習をしてきた。社会人になってから、もう楽器はやらないだろうと思っていたのに、突然何かが目を覚ましたように猛烈に楽器が吹きたくなった。多分僕は悔しかったのだと思う。プレイヤーが楽しそうに演奏する姿が。人を感動させる力を持ったバンドに嫉妬した。今、僕はこちら側の人間で、彼らはあちら側の人間。感動する側とさせる側。いろんなことを言い訳にして眠らせていた自分の欲求を解放したい。音楽がやりたい。もう一度最初から。
熱い想いを抱いて、寒い中で細く汚い音を鳴らす。ほとんど10年ぶりくらいに吹いたトランペットはとても音楽になるようなものではなく、上手いとか下手とかを論じられるレベルでもなく、本当に初心者の情けない音しか出なかった。
最初に出そうとしたF(チューニングB♭の下のソ)もなかなかまともに出なかった。チューニングのB♭を出すのもしんどい。2時間かけて主にロングトーン、それとリップスラーを少し。来週もやる。まともに吹けるようになるまでやる。どこかのバンドに入ってやる。観る側ではなく、魅せる側になる。
 
楽器を数年間放っておいた罰で、グリスが固まってしまったらしく、チューニングスライド(主管)が動かない。ぬるま湯に浸けて温めてもダメ。早速楽器屋さんに直してもらいに行ったら、預かりになるとのこと。楽器が返ってくるのは1週間後の予定。今までずっと触ってもいなかったくせに、1週間かかると言われて焦れったく感じるのはなぜだ。