和解

誰も悪くないが誰にもどうしようもない事柄というのがある。一見穏やかな水面を保ちつつ、奥底で轟々と渦巻く感情の波。自覚しつつそれでも眺めているしかできなかったあれこれの問題が、長い長い時間を経てようやく氷解した。
滑り続ける会話と断片的な言葉は何の意味もなさず、そこには救いもなければ発展もなかった。ドロドロした重油に足を取られて全身真っ黒になりながら、何も起きていない振りで過ごす日常。不条理は繰り返され、僕はそれを打ち払うために別の方向から全く的の外れた鍛錬を繰り返していた。
氷解のきっかけはちょっとした、でも確実な環境の変化。どんなに長い時間を経たとしても、もしこの変化がなかったなら、今回の和解は達成されなかった。今までの延長でなく、全く新しい世界から目の前へ落っこちてきた隕石に、僕は最大限の感謝をする。
自分だけでなく大切な友人をも苦しめていた自分の中の悪魔が滅んで、僕はやっと人間になれたかなあ。