松葉杖の生活

松葉杖の生活は想像以上に大変で、もうくじけそうです。
骨が折れていても仕事はなくならないので会社に通っているのですが、家からバス停までの100メートルが遠すぎる。駅から会社までの数百メートルが遠すぎる。
雨でも傘を差せないのでレインコートを購入。買いに行くのも移動が伴うので一苦労。移動は結局腕の力だけで動いているので、腕がだるいし握力がなくなってきている。匍匐前進で移動しているようなものか。匍匐前進も10メートルならできるけれど100メートルはきついですよね。
骨折から4日目。足はまだ腫れています。できれば外出などせずに安静にして、足に体重をかけず、足の位置は心臓より高めに保ちつつ冷やすのがよいそうなのだけれど、実際は1日中会社にてデスクワークしているので、足は身体の一番低いところに保たれている。会社帰りには買い物のためスーパーに寄らなければならないわけで、かなり負荷がかかっている。
 
松葉杖で電車に乗ってみて興味深いのは、優先席前に立っても席を譲ってくれる人と絶対に譲ってくれない人がいること。松葉杖生活は移動がこの上なく大変なので、電車に乗った時はどうしても座りたくて優先席を目指すようにしている。多くの場合は席を譲ってもらえるのだけれど、そうでない場合もある。今朝の電車では優先席前に辿り着いたら、目の前に座ってスポーツ新聞を読んでいた会社員と思われるおじさんが新聞をたたみ始めた。その後の流れはなんとなく空気でわかっていたのだけれど、予測したとおりそのおじさんは居眠りを開始。思わず杖の先でおじさんのみぞおちをぐりぐりやりながら「テメー狸寝入りしてんじゃねーよ」とか言いたくなりました(やってません)。僕の斜め後ろには、乳幼児を抱いた女性が同じように立っていて、2つ先の駅で降りていきました。恐らく、この車両では座れないと悟って別の車両に移動したのではないかと推測。
 
健康体でいるときには気付かないいろんなことに気付きます。階段は上るより下りる方が大変なこと。ノンステップバスでない旧式のバスは乗り降りが不可能と思うくらい段差が高いこと。自動改札は松葉杖の人間には横幅が狭すぎること。
一方で、人の温かさにも普段より多く触れることができます。友人やCAメンバーからの励ましメール。ドアを開けて僕が通るのを待っていてくれる会社の人。街でふと触れる見知らぬ人の気遣い。
でも、「大丈夫?」と声をかけてもらっても「大丈夫じゃないから杖ついてるわけで」とか思ってしまうのはやはり弱っているせいか。早く治りますように。
公演が終わったら片付けようと決めていた僕の部屋は荒れ放題で、もうどうしたものかと。