「誰も知らない」

誰も知らない」を観るために上映20分前に映画館に着くと、まだ開場しておらず、その上待っている人は僕の他に2人しかいなかった。バウスシアター(2)は50人も入ったら満席の小さな映画館で、スクリーンもそれなりの大きさだからあまり人が集まらないのかなーと思ったら、これ8月に封切りになった映画なのね。入りがよくないのはそのせいか。結局、観客は十数人。
でも映画は本物だった。僕はこういう映画を観るのは初めてかも知れない。「こういう映画」というのは、なんだろう、商業主義でない映画といえばいいのかな。観客を飽きさせないために次から次へ事件が起き、息もつかせぬ展開で、人がよく死に、爆発シーンがあり、ラブシーンがある、泣かせる演出がある、そういう映画とは対極にある作品であるということ。そこにあるのは親の帰りを待つ子供たちと、巡りゆく季節、重ねられる生活。映し出される子供たちの表情は、作り物でない本物に見えた。
生きていくのは綺麗事ではない。予告編のコピー、「おとなになるには、あといくら、いりますか?」はすごくリアルだ。実際にあった話をもとに作られたという映画だという。「本物」の子供たちは、今どうしているのだろう。あの後、学校に行けたのかな。
主演の柳楽優弥かっこええ。(でも名字の読み方がわからん。やぐら?)

「誰も知らない」公式サイト